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SHIMOKITA VOICE 2013

SHIMOKITA VOICE 2013

Shimokita Voice  開催、区長まじえ再開発について激論

 

2007年にスタートした下北沢の夏の恒例行事「Shimokita Voice」が今年は9月29日~30日に開催された。下北沢商業者協議会が中心となり、トーク/音楽ライブなどを通じて下北沢が直面する道路・再開発問題にフォーカスするイベントだ。初日は「岐路に立つ下北沢」と題して道路・再開発問題に関するシンポジウムを開催。世田谷区長の保坂展人氏が就任以来3年続けて、このイベントに登場した。

 

保坂区長はノーネクタイにジャケットの袖をまくったラフな装いで登壇。50分のスピーチの前半は再開発問題に限定せず、区で最近進展があった取り組みをいくつか紹介した。たとえば、区が武蔵野大学と協力して桜新町に開設した日本初の産後ケアセンターは、開設3年で利用者が初年度の2倍超に増えた。学校施設の老朽化対策では、安易に改築に走らず、大規模改修でまかなえるものは改築計画を見直してコストを抑えた。

 

エネルギー問題では、区の111カ所の施設で使う電力の供給元を東京電力からPPS(特定規模電気事業者)に切り替えた。2013年度のコストを6600万円削減できる見込みという。また、住宅の屋根への太陽光発電システム導入を促進する「世田谷ヤネルギー」キャンペーンを実施。導入は200件にとどまったものの、問い合わせ2000件、見積り600件と反響は大きかったという。

 

スピーチの後半では再開発問題に触れ、小田急線の地下化について、複々線化工事の完了予定が5年後(2018年)のため「工事の柵や重機がある状態が続くことで、人が来なくなってしまうかもしれない」と懸念を示した。この点について北口駅前市場跡地で今夏に夏祭り(盆踊り)が行われた事例を挙げ、「象徴的な出来事。空いたスペースを使って次の価値を見出せれば」と期待を寄せた。

 

地下化に伴う鉄道敷地跡地の将来像については「防災と緑の拠点にしたい。1年ほど協議が続いているが、グランドデザインに関する合意のタイミングは近づいている」とする。緑地の管理に関しては、北沢川緑道の管理に地域住民が積極的に携わってきた例を引き合いに出し、地元の協力によって管理コストを下げる考えを示唆した。

区長「やらないつもりなら出てこない」

区長のスピーチに続いて、区長や識者、商店街の代表、住民の代表が意見を交換するパネル・ディスカッションが行われた。高崎経済大学准教授で哲学者の國分功一郎氏は、小平都市計画道路に関する住民活動に参加した自身の経験を踏まえて「行政が決めたことに住民が何もできないのはおかしい。住民側は糾弾型ではなく提案型の運動が大切。行政は諮問型ラウンドテーブルなどを開くことが望ましい。行政側も構想を理解してもらうのに、ラウンドテーブルは良い機会になるはず」と意見を述べた。

 

明治学院大学教授の服部圭郎氏は、港区白金でかつて四の橋商店街と魚らん坂商店街が広幅の道路で分断されたために商店街が衰退したと指摘。「道路の怖さを軽く見てはいけない」と主張した。また、世界では近年、街から自動車交通を排除したり、道路の一部を歩行者空間にしたりと脱クルマの動きが広がっていると説明。最大26m幅の補助54号線や約5400m2の交通広場の整備は、世界のトレンドに逆行していると批判した。

 

下北沢あずま通り商店街会長の金子健太郎氏は、今夏に北口駅前で盆踊りを主催した経験を語った。「しもきた商店街のエリアで開催し、やぐらは区から借り、ちょうちんは池ノ上の商店街から借りた。騒音について事前に周辺の店舗や劇場など、影響が出そうなところに挨拶に行った」。当日は会場が芋洗い状態になるほど大盛況だったという。金子氏は「踏切がなくなったのを契機に、縄張り意識を捨てて下北沢がひとつになれたら」と、地下化に街の振興のチャンスを見出している。ただし「26m幅の道路が必要かどうかは誰がみても答えは明らか」と、跡地利用の計画内容には疑問を投げかけた。

 

祖父の代から下北沢に暮らしているという伊藤隆允氏は、再開発計画の見直しを求めて訴訟中の原告団に参加している。「計画内容も計画決定のプロセスもひどい。区長は衆議院議員時代に公共事業チェック議員の会の事務局長を務めた経歴があり、手腕に期待していたが、区の基本計画にはあいかわらず道路整備などが明記されている。がっかりした」と批判した。行政訴訟の原告側弁護士である石本伸晃氏や、Shimokita Voice実行委員長の大木雄高氏らからも、住民意見の反映が不十分という主旨の意見が述べられた。

 

これに対して保坂区長は「(ラウンドテーブルなどを)やらないつもりだったら、ここに出てこない」と反論。「工期があと5年かかるというのは予想を超えたが、異なる意見を持つ人々の合意形成に時間を使いたい。今後1.5~2年で計画をつめていけたら。住民参加のまちづくりに関しては、小田急線上部利用オープンハウスの開催や、パブリックコメントの募集などをしているが、参加が少ない。周知が足りない、募集期間が短いなど問題があるかもしれないので、今後いっそうの工夫をしていく」と話した。

 

道路が整備されることで街が分断され、街のにぎわいのほか、高齢者の生活にも深刻な影響が考えられるという指摘には「回遊性を高めるような仕掛けを検討する。既存の乗り物以外のモビリティを導入することも視野に入れる」と回答した。

文:赤坂 麻実

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