下北沢で部屋を探すときに知っておきたいことを一つ挙げるとしたら何ですか?
なんといっても、家賃が周辺地域よりも高いことです。 たとえば、1Kでバス・トイレ別、オートロック、2階以上の部屋。この時期、地方から出てくる女性のリクエストの中で最も多い条件ですが、鉄筋コンクリート造(RC造)で8万円台の後半、木造で7万円台の後半が下北沢の相場です。下北沢から少し下って永福町(井の頭線)や梅ヶ丘、経堂(小田急小田原線)辺りになってくると、相場はRC造で8万円台の前半、木造で7万円の前半ぐらい。それぞれ、数千円ほど変わってきます。
周辺地域の中で下北沢が特に高いのは、どういう理由でしょう?
理由はいくつかありますが、一つは大家さんの性質。集合住宅の大家さんって、大きく分けると2タイプいると思うんです。先祖代々、土地を持っている地主タイプと、土地を購入して建物を建てて貸し出す投資家タイプ。下北沢では、地主さんタイプが圧倒的に多いんですよね。投資家だと、とにかく入居してもらって投資を回収しなければと考えるのが普通ですが、地主さんは鷹揚に構えている人が多いです。無理に借りてもらおうと思っていないから、家賃を下げません。むしろ「家賃を下げたら負け」みたいな感覚をお持ちの方も少なくないですね。
そういう事情で家賃が高いと、普通なら借り手は納得しづらいところですが、下北沢ってリピーター(下北沢から下北沢へ引っ越す人)が多いですよね?
そうですね。データを取れば、おそらく日本全国でみてもリピーター率は上位のはずです。うちで成約になる方の4割強は下北沢にお住まいの方、もしくは小田急小田原線、次に井の頭線の沿線の方です。 下北沢は街としてのブランドが確立していますが、決して名前が先行しているわけではなく、実際に住んだ人の満足度が高い街です。大家さんも、住みやすさを知っているから、家賃を下げる理由がないと思っているんじゃないでしょうか。
下北沢の住みやすさ、簡単にご説明いただけますか?
治安が良いし、買い物もしやすい。それから、よく言われることですが、人が良いというかポジティブな方が多いので街の空気が良いんですよ、居心地が良いというか。これは住んでみないと、言葉で説明してもちょっと分かりづらい部分かもしれません。外から見る下北沢と、実際中に入ってみる下北沢って違う色に見えると思いますね。
そういう下北沢の空気に数千円多く払ってもいいと思う人がリピーターになっていくんでしょうね。「知っておきたいこと」の最初に家賃を挙げていただいたのは、家賃がネックで成約に至らないケースが多いからですか?”
その通りです。半数が家賃の壁であきらめていかれますからね。下北沢って、ヒッピー系や役者の卵、売れないバンドマン、学生が多い、だから人気の割には家賃が高くないはず、というイメージをお持ちの方がまだまだ多いようなんです。
なるほど。ちなみに現在の傾向として、下北沢の家賃は下がっていますか? それとも上がってきた?
家賃はそれほど変わりませんが、初期投資は小さくなってきています。10年ほど前までは、敷金が家賃の2カ月分、礼金も2カ月分という物件が半数以上だったと思うんですが、今は敷金も礼金も1カ月分が当たり前になりました。どちらか一方だけでも2カ月分だったりすると、逆に「なんで?」と感じられるくらいです。ここ数年、需要に対して供給過多の状態が続いたことと、投資家タイプの大家さんがだんだん増えてきたことで、風穴が開いたのかもしれません。
では、今ちょっと下北沢は手が届かないという人も、チェックを続ける価値はあるのかもしれませんね。ほかに金銭的なことで、部屋探しの前に知っておくといいことは?
最近では、敷金・礼金、火災保険料以外に徴収されるお金が出てきました。消毒代やら消火器代やらを請求するところが増えているんです。これらは不要なものですので、次回以降にご説明したいと思います。
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